2024-02-13
被相続人が所有者の不動産名義を受け継ぐ人に変える手続きが、名義変更です。
これまでは相続人の任意とされてきた相続登記ですが、2024年4月1日から法律によって義務化されます。
そこで今回は、相続登記が義務化される背景や内容、土地相続したくない場合にとれる手続きについて解説します。
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近年、相続登記をおこなわずに、長期間放置される不動産が増加しています。
相続登記義務化の背景には、登記未了のまま放置される不動産が増えることにより、さまざまな弊害が生じていることにあります。
不動産の所有者を記録するために、法務局が管理している書類が登記簿です。
相続登記は、不動産の登記簿上の名義を亡くなった被相続人から相続人に変更する手続きであり、具体的には相続人が所有権移転登記をおこなうものです。
手続きを怠ると、登記簿上の所有者は被相続人のままとなり、相続人は不動産を売却できません。
これまでは相続登記が義務付けられていなかったため、放置することも可能でした。
しかし、相続開始から10か月ほどで手続きすることが一般的ですが、放置して売却まで進めないケースも散見されました。
未了は権利関係の複雑化や空き家の増加などを招き、社会問題の一因となっています。
登記未了などが原因で発生する問題の一つが、所有者不明土地の問題です。
相続登記義務化の背景には、所有者不明土地の問題が挙げられます。
登記簿を確認しても所有者が即座に特定できない土地や、所有者に連絡が取れない土地が、所有者不明土地です。
所有者不明の不動産は、公共事業の妨げになるだけでなく、放置されることにより、雑草の繁茂や不法占有者などが周囲に影響を及ぼすリスクを生じます。
また、放置が続くと登記簿上の所有者は被相続人のままで、相続人の数が増加する原因となります。
複数の相続が重なり、相続人が大勢増える土地は「メガ共有地」と呼ばれます。
もともとは1人の所有者がいた土地も、相続登記をおこなわずに世代が変わるなかで、相続人が数十人に増加することがあります。
メガ共有地に起因する問題も、相続登記義務化の一因です。
たとえば、管理者が不在となった土地から樹木が隣地に伸びたり、他者の権利を侵害したりするケースがあります。
また、メガ共有地を含むエリアが開発される際、所有者の同意が得られず、意思決定ができないなどの弊害も考えられます。
未了による影響から生じるさまざまな社会問題が、義務化の背景になっています。
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従来は不動産を受け継ぐ人の任意とされてきた相続登記ですが、義務化が実施されると、どのような変化があるのでしょうか。
ここでは、相続時の義務化の概要や項目、罰則の内容について解説します。
相続登記の申請義務化は、民法・不動産登記法等の改正に基づく制度です。
法律の施行に伴い、相続登記の義務化は2024年4月1日からスタートします。
この制度は、不動産の所有権に対する登記に限定されます。
相続に関連する不動産登記には、賃借権や抵当権などもありますが、これらは義務の対象外です。
義務化が始まると、不動産の所有権を継承する相続人は、期限内に申請手続きを行わなければなりません。
具体的には、相続開始と所有権獲得の両方を知った日から3年以内が申請の期限となります。
簡単に言えば、不動産の所有権を相続したことを知った日を起算日として、3年以内に申請する必要があります。
自分が相続人の一員であることがわかっていても、不動産が遺産に含まれていることを知らなければ、義務は発生しません。
所有権を継承する人が示された遺言書がある場合、当事者となる相続人が相続開始と遺言で所有権を継承したと認識した日が起算日となります。
また、留意すべき点は、過去の出来事に及ぶことです。
義務化の施行日は2024年4月1日ですが、これ以前に発生していた不動産相続も義務化の対象です。
施行前に生じた相続で相続登記が未了の場合、施行日か不動産相続を知った日のうち遅い方から3年以内に申請する必要があります。
義務化の内容とともに、相続人が知っておくべき重要な事柄は罰則についてです。
期限内に正当な理由がないまま3年以内に手続きを行わないと、罰則として10万円以下の過料が課せられます。
この罰則は、遺言書に基づく相続や、過去の相続で未了の場合にも同様に適用されます。
相続登記の義務化に加えて、予備知識として把握しておくべき事柄は、所有権登記名義人の氏名などに変更が生じた際の対応です。
変更があった場合、登記名義人の氏名または名称、住所変更の登記が義務づけられます。
変更の登記申請の期限は、変更が発生した日から2年以内とされており、正当な理由がなく期限を過ぎると5万円以下の過料が科せられます。
連絡のとれない相続人がいるケースなど、相続登記義務を果たしたくても、すぐに手続きできない場合もあるでしょう。
正当な理由があり、期限を過ぎた際の罰則は免れた場合でも、義務を履行したと認められないことに注意が必要です。
相続人申告登記の創設は、このようなケースの救済策になります。
法務局に対して、登記名義人についての相続開始と、自分が相続人であることを申し出ると、相続登記義務を果たしたとみなされます。
ただし、相続人申告登記だけでは不動産の所有権を得たとされず、第三者に所有権をもつ相続人として主張するには、相続登記の手続きが必要です。
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不動産を相続する際、相続人による相続登記が義務化されますが、ケースによっては不動産相続したくない場合もあります。
最後に、不動産相続したくない場合に、土地の所有権を放棄できる制度についてご紹介します。
法改正において、相続登記の義務化と同様に、土地を相続したくない場合に利用できる相続土地国庫帰属の制度が新設されました。
制度の内容としては、不動産相続を望まない所有者が法務局に申請し、審査を通過すると、国有地として手放すことができる仕組みです。
従来の法律では、預貯金などは受け継いで、相続したくない土地だけを相続放棄することはできませんでした。
しかし、相続土地国庫帰属の制度を利用すれば、相続したくないと考えている土地の所有権放棄が可能です。
制度を通じて国に帰属できる不動産は、所有権や境界線に関する争いがなく、担保権の付いていない更地などに限られます。
相続土地国庫帰属の制度は、相続登記の義務化と併せて、所有者不明土地の増加を防ぐために設けられました。
所有すると負担になる農地や山林など、相続したくない場合に利用できる可能性があり、これがメリットですが、申請には費用が発生します。
費用には、審査手数料の他に、土地管理費として10年分に相当する負担金がかかります。
標準的な国有地の10年分に相当する管理費用は、粗放的な管理が可能な原野では約20万円程度です。
宅地の場合は、200㎡あたりで80万円ほどが目安とされています。
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従来、相続登記は相続人の任意とされてきましたが、法律によって義務化されます。
義務化が施行されると、申請期限なども設けられるため、不動産を相続する方は注意が必要です。
不動産相続をしたくない場合は、対象となる土地に条件があるものの、国に帰属できる制度を検討するのも良いでしょう。
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