相続における単純承認とは?手続き方法や注意点についても解説!

相続における単純承認とは?手続き方法や注意点についても解説!

財産の相続方法は複数ありますが、もっとも一般的なのが「単純承認」です。
単純承認とは、プラスの資産もマイナスの資産もすべてそのまま相続する方法です。
この記事では、単純承認の仕組みや手続き方法、単純承認と見なされるケースなどを解説します。
注意点もあわせてご紹介するので、不動産を相続するご予定のある方は、ぜひ最後までご覧ください。

不動産相続における単純承認とは?

不動産相続における単純承認とは?

単純承認とは、被相続人(亡くなった方)の財産をすべて相続することです。
これには、現金や不動産などのプラスの財産だけでなく、未払金や借金といった負債も含まれます。
たとえば親人が亡くなり、1,000万円の現金と3,000万円の不動産、6,000万円の借金があったとしましょう。
単純承認を選択すると、1,000万円の現金と3,000万円の不動産を取得できますが、同時に6,000万円の借金も背負うことになります。

限定承認や相続放棄との違い

財産の相続方法には、単純承認のほか「限定承認」と「相続放棄」があります。
限定承認とは、プラスの財産の範囲内でマイナスの財産を引き継ぐことです。
たとえば、被相続人の財産が2,000万円で借金が3,000万円あったとしましょう。
限定承認を選ぶと、弁済しなければいけない借金は2,000万円です。
残りの1,000万円については、債権者が相続人に対して弁済を求めることはできません。
一方で相続放棄とは、プラスの財産もマイナスの財産もすべて引き継がない方法です。
借金を引き継がなくて済む代わりに、現金や不動産などプラスの財産も取得できなくなります。
マイナスの財産がプラスの財産を上回っていることが明確な場合は、相続放棄を選択しておくと安心です。

単純承認のメリットとデメリット

限定承認と相続放棄をおこなう場合は、期限内に所定の手続きをおこなわなければなりません。
一方で単純承認には、特別な手続きを必要としないというメリットがあります。
どのように単純承認を選択するかについては、後ほど解説します。
単純承認のデメリットは、被相続人のすべての財産を引き継ぐことです。
マイナスの財産がプラスの財産を上回る場合、相続人が弁済しなければならず、大きな負担となってしまいます。
そのため、財産の詳細が判明していない段階で単純承認を選ぶのはおすすめできません。
なお、相続開始から3か月が経過してしまうと、相続放棄と限定承認が選択できなくなります。
単純承認を選択すべきかどうか判断に迷う場合は、弁護士などの専門家へ相談してみましょう。

不動産相続における単純承認の手続き方法とは

不動産相続における単純承認の手続き方法とは

具体的にどのような段階を踏めば、単純承認を選択できるのでしょうか。
ここからは、単純承認を選択する際の流れと単純承認を選択すべきケースについて解説します。

単純承認の手続き方法

単純承認を選択する場合、とくに手続きをする必要はありません。
相続放棄または限定承認の申請をしなければ、自動的に単純承認と見なされます。
相続放棄をする場合は相続放棄申述書、限定承認をする場合は限定承認申述書と財産目録を提出する必要があります。
これらの手続きは、いずれも「相続の開始を知った日から3か月以内」におこなわなければなりません。
定められた期間内に手続きをしなければ、自動的に単純承認と見なされます。
つまり、相続開始から3か月以内(熟慮期間)に、どの相続方法を選択するか決める必要があるということです。
この3か月の熟慮期間は、家庭裁判所に申請することで延長できます。
申請は熟慮期間内に行わなければならず、またすべての場合で認められるわけではありません。
延長が可能かどうかは家庭裁判所の審査によって決まり、認められた場合は1〜3か月ほど伸ばしてもらえるケースが多いようです。

単純承認を選択すべきケース

単純承認・限定承認・相続放棄といった3つの方法がある中で、単純承認はもっとも一般的な相続方法です。
プラスの財産がマイナスの財産を上回ることが明確な場合は、財産を相続して残りの遺産を分け合うのがおすすめです。
一方でマイナスの財産がプラスの財産を上回ることが明確な場合は、相続放棄や限定承認を選択したほうが良いかもしれません。
ただし、限定承認の手続きは複雑で時間もかかるうえ、書類の取得費用なども発生します。
どの相続方法を選択すべきか判断に迷う場合は、早めに専門家に相談することをおすすめします。

相続前に知っておきたい!単純承認と見なされるケースとは

相続前に知っておきたい!単純承認と見なされるケースとは

相続人の行為によっては、本人の意思に関係なく、自動的に単純承認を選択したとみなされるケースがあります。
これを「法定単純承認」といい、法定単純承認が認められると、相続開始の3か月以内であっても他の相続方法を選択できません。
ここからは、単純承認とみなされてしまう代表的なケースをご紹介します。

相続財産の全部または一部を処分した場合

相続財産の全部または一部を処分するのも、法定単純承認とみなされる行為の1つです。
ここでいう処分とは、相続財産を売却したり他人にあげたりする行為のほか、紛失や破損行為も含まれます。
このような行為をおこなうと、その相続人には財産を引き継ぐ意思があると見なされます。
ただし、相続人の行為が財産を守るための「保存行為」であると判断される場合は別です。
処分行為と保存行為の線引きは曖昧な部分も多く、個別の状況や事情なども考慮したうえで判断されます。
相続財産に手をつける必要がありそうな場合は、事前に弁護士などに相談してから進めるようにしてください。

不動産の名義変更をおこなった場合

相続財産である不動産の名義を変更した場合も、法定単純承認が成立すると考えられています。
相続による所有権の移転登記(名義変更)をするということは、その不動産についての権利を行使したと判断されます。
これは、実際にその不動産に居住しているといった外形上の変化が無かったとしても同様です。

3か月以内に手続きをしなかった場合

先述したように、相続開始を知った日から3か月以内に何もしなければ、単純承認を選んだと判断されます。
相続時には多くの手続きが発生するため、3か月という期間はあっという間に過ぎてしまいます。
この短い期間で相続財産の調査をおこない、適切な相続方法を選択するのはそう簡単ではありません。
損をしないためにも、相続開始を知った時点で早めに行動し、専門家に相談したうえで判断するのがおすすめです。

相続財産の一部または全部を故意に隠匿や消費した場合

相続人が故意に相続財産の隠匿や消費をおこなった場合は、法定単純承認とみなされます。
そもそも相続放棄や限定承認は、被相続人の負債から相続人を守るための制度です。
財産の隠匿や消費行為は信頼を裏切る行為にあたるため、保護の対象とは言えません。
たとえ他の相続方法を選択した後であっても、財産を隠匿や消費した場合には法定単純承認が認められます。

まとめ

単純承認は、被相続人の財産を全て引き継ぐことで、相続放棄や限定承認とは異なり特別な手続きは必要ないというものです。
手続きの手間を省ける点はメリットですが、マイナスの財産が多い場合は負債を抱えてしまうことになります。
また、相続人の意思に関係なく、自動的に単純承認と見なされる行為もあるため注意が必要です。
相続に関して不安な点がある場合や相続方法に迷う場合は、専門家の意見を聞いてから判断することをおすすめします。


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資格:宅地建物取引士 不動産キャリアパーソン 損害保険募集人

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