相続時精算課税制度の仕組みとは?計算方法や注意点を解説

相続時精算課税制度の仕組みとは?計算方法や注意点を解説

この記事のハイライト
●相続時精算課税制度とは、親・祖父母が子・孫に贈与する際に一定額まで贈与税の納税を先送りにできる制度
●相続税を計算する際は、相続財産に贈与した財産を加算して計算する
●相続時精算課税制度の注意点は、節税にならないことや物納ができない、生前贈与の年数について

不動産を所有していると、いずれ子が相続するときのために相続対策をしておいたほうが良いのか悩みますよね。
そこで相続をする前に知っておきたいのが「相続時精算課税制度」です。
この記事では、相続時精算課税制度とはなにか、相続時精算課税の計算方法や注意点を解説します。
北九州市で不動産を相続する予定、または相続される予定の方はぜひ参考にご覧ください。

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相続時精算課税制度の制度内容とは?

相続時精算課税制度の制度内容とは?

相続時精算課税制度とは、親や祖父母が成人した子や孫に累計総額2,500万円までの多額の資金援助をする際に、贈与税がかからないようにするものです。
ただし、この制度は税金が免除されるわけではなく、あくまで相続時まで猶予されるという点がポイントです。
贈与した親や祖父母が亡くなって相続が発生したときに、贈与した財産も相続財産に含めて相続税が課税されます。
相続時精算課税制度を利用するには、最初に贈与を受けた年の翌年の確定申告期限内に、税務署へ選択届出書の提出が必要です。

相続時精算課税制度の適用対象者

相続時精算課税制度は、贈与する者や贈与を受ける者が直系の血族でなければいけません。
直系の血族とは、親と子、祖父母と孫など、親族関係図における上下でつながる血縁関係のことです。
相続時精算課税制度を利用するには、以下のように年齢制限もあります。

  • 贈与する親または祖父母:贈与をした年の1月1日時点で60歳以上
  • 贈与を受ける子または孫:贈与を受けた年の1月1日時点で成人している

成人年齢については、2022年4月1日から20歳から18歳に引き下げられました。
この変更は相続時精算課税制度にも適用されるため、ご注意ください。

相続時精算課税制度のメリット

相続時精算課税制度は、進学費や新居の購入費用など、まとまった資金を子や孫に支援したい方にとって、非常に便利な制度です。
年間110万円までしか非課税にならない暦年贈与に比べ、一度に2,500万円まで非課税となるからです。
また、相続時精算課税制度を利用することで、相続争いを回避できるというメリットもあります。
親や祖父母が生きている間に贈与をおこなえば、関係者全員が話し合って解決できるため、亡くなった後の相続争いを避けることができるのです。
また、収益不動産をお持ちの方は、相続時精算課税制度を利用して贈与することも有効です。
相続財産の総額を減らすことができますし、その不動産から得られる収入に対する相続税もかからなくなります。
つまり、贈与を受ける子や孫は相続時まで税金の心配をすることなく、その不動産の収入の恩恵を受けることができるのです。

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相続時精算課税制度を利用した場合の税金の計算方法とは?

相続時精算課税制度を利用した場合の税金の計算方法とは?

では実際に、相続時精算課税制度を利用すると、贈与税や相続税がいくらになるのか気になりますよね。
それぞれの計算方法について解説します。

贈与税の計算方法

相続時精算課税制度を利用すると、2,500万円までの贈与額について贈与税はかかりません。
そのため、贈与税の計算式は以下のとおりです。
(贈与額-2,500万円)×20%
2,500万円の非課税枠は何回かに分けて贈与することも可能です。
たとえば、1年に500万円を5年間にわたって贈与した場合は、贈与の都度申告が必要になります。
なお、現行制度では、相続時精算課税制度を利用すると暦年贈与の制度が使えない決まりとなっていました。
暦年贈与とは、年間の贈与額について、110万円まで非課税にする制度です。
しかし、民法改正により、2024年1月1日以降に贈与する財産については、相続時精算課税制度の非課税枠2,500万円にくわえて、年間110万円までは申告不要で贈与税が非課税になります。
そのため、改正後の贈与税の計算式は以下のとおりです。
((贈与額-年間110万円)-2500万円)×20%

相続税の計算方法

相続時精算課税制度を利用した場合、相続税は非課税となった贈与財産+相続財産にかかります。
すでに支払った贈与税がある場合は、贈与税を精算して差額の相続税を納めることになります。
相続税の計算を始める前に基礎控除額の計算も必要です。
相続財産の総額がこの基礎控除額の範囲内であれば、相続税はかかりません。
基礎控除額を超えた場合は、その超える額について相続税の課税対象となります。
基礎控除額の計算式は以下のとおりです。
3,000万円+(法定相続人1人あたり600万円)
たとえば、相続財産の総額が5,000万円で、法定相続人が1人だとします。
この場合の基礎控除額は、3,600万円(3,000万円+相続人1人×600万円)となります。
つまり、相続財産が5,000万円の場合、このうち1,400万円(5,000万円-3,600万円)が相続税の課税対象となるのです。
次に税額の計算をおこないましょう。
課税対象額全体(相続額から基礎控除額を差し引いた額)を各相続人が相続する金額に分割します。
そして、それぞれの相続分に対して、適用される相続税率で課税されます。
なお、相続税の税率は一律ではありません。
相続税の税率は、相続した財産額に応じて10%~55%です。
相続財産が小さいほど税率が低くなり、相続財産が増えるほど税率が高くなります。
また、取得した相続財産に応じて控除額も変わります。
詳細な税率や控除額については、国税庁のホームページでご確認ください。

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相続時精算課税制度を利用するにあたっての注意点とは?

相続時精算課税制度を利用するにあたっての注意点とは?

相続時精算課税制度は、相続が発生する前に子や孫に財産の贈与を促す制度です。
そのため、節税対策とは異なります。
相続時精算課税制度を利用するうえでの注意点は、以下の3点です。

注意点①節税にならないこともある

1点目は、基本的に相続時精算課税制度は税負担を大幅に減少させる方法ではないということです。
相続時精算課税制度を利用して贈与した場合、本来ならすぐにかかるはずの贈与税が、相続時まで繰り延べられます。
そして、贈与した方が亡くなった時に発生する相続財産に贈与額は加算されます。
つまり、納税の義務がなくなるわけではありません。
ただし、前章でも述べたとおり、収益不動産を贈与する場合など、特定の状況においては、相続時精算課税の利用が節税となる場合もあります。

注意点②物納ができない

2つ目のポイントは、相続税の納税方法についてです。
納税は、金銭ではなく土地や建物などの物で税金を納める「物納」が可能な場合があります。
物納は、税金が高額で、それを賄うだけの流動資金がない場合に有効な手段です。
しかし、相続時精算課税制度は、物で税金を納めることは認められていません。
つまり、多額の相続税がかかるような贈与をおこなう場合は、税額をカバーできるだけの流動資産を確保することが極めて重要です。
もしそうでなければ、相続税が発生したときに、相続人が経済的困難に直面する可能性があります。

注意点③生前贈与について

相続財産において、故人が死亡の前に3年以内に相続人に対して贈与をおこなった場合は、相続税の計算においてこの贈与額を含めます。
このことを生前贈与加算と呼び、相続税の申告の際に加算漏れがないように注意が必要です。
なお、民法の改正により2024年1月1日以降に贈与によって取得された財産については、亡くなる前7年以内の贈与が対象となります。

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まとめ

相続時精算課税制度は、子または孫に財産を贈与したい方にとって累積2,500万円までは贈与税を非課税にできる魅力的な制度です。
しかし、贈与した財産は相続時に相続財産に加算されるため、必ずしも節税となるわけではありません。
収益不動産の場合は、相続時精算課税制度を利用して贈与すると相続税を節税できる可能性があります。
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