相続税の取得費加算の特例とは?活用できないケースや併用できる税制も解説!

相続税の取得費加算の特例とは?活用できないケースや併用できる税制も解説!

この記事のハイライト
●取得費加算の特例とは取得費に相続税額のうちの一定額をプラスすることによって譲渡所得税を減らす制度
●「配偶者や法人の場合」「譲渡所得以外の場合」「生前贈与の場合」は適用できない
●「マイホームを譲渡した場合の3,000万円特別控除の特例」「居住用財産の買換え特例」「小規模宅地等の特例」は併用が可能である

相続した不動産を売ると、相続税のほかに譲渡所得税もかかり、税金の負担が重くなります。
そのような場合は、取得費加算の特例の利用を検討してみてはいかがでしょうか。
本記事では北九州市で不動産を相続する予定の方に向けて、相続税の取得費加算の特例について解説します。
適用できないケースや併用できる税制も解説しますので、ぜひご参考にしてください。

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相続税の取得費加算の特例とは

相続税の取得費加算の特例とは

取得費加算の特例とは、相続した不動産を売った際に、譲渡所得税を減らす制度です。
ここからは、取得費加算の特例の概要や、適用を受けるための要件について解説します。

取得費加算の特例とは

譲渡所得税の計算の基礎となる取得費に、相続税額のうちの一定額をプラスすることによって、譲渡所得税を減らす制度です。
相続した不動産の売却で利益(譲渡所得)が出た場合は、譲渡所得に税率を掛けた譲渡所得税がかかります。
譲渡所得とは、売却で得られた収入金額から、財産を手に入れるために支払った取得費や、売却にかかった譲渡費用を引いた金額です。
取得費加算の特例を利用すると、相続税額のうちの一定額を取得費に足すことができます。
取得費が増えることによって譲渡所得は減るため、譲渡所得税の負担が軽くなる仕組みです。

適用要件

取得費加算の特例を利用するためには、以下の3つの要件を満たさなければなりません。

  • 相続や遺贈によって財産を取得していること
  • 財産を取得した方に相続税が課税されていること
  • 相続開始の翌日から相続税申告期限の翌日以後3年が経過する日までに売却していること

それぞれの要件について解説します。
1.相続や遺贈によって財産を取得していること
遺贈とは、遺言の内容にしたがって無償で財産を引き継ぐ方法です。
法定相続人しか財産を引き継げない相続とは異なり、遺贈であれば相続の対象とならない方でも財産を引き継げます。
生前贈与は適用の対象外ですが、相続時精算課税制度を利用した場合は適用対象です。
相続時精算課税制度については、のちほど解説します。
2.財産を取得した方に相続税が課税されていること
取得費加算の特例を利用する方は、相続税を納めていることが大前提になります。
取得費に加算できる金額は、支払った相続税額をベースとして算出されるからです。
財産を相続した場合でも、相続税を支払っていない場合は利用できません。
3.相続開始の翌日から相続税申告期限の翌日以後3年以内に売却していること
取得費加算の特例は、短期間で相続税と譲渡所得税を納めなくてはならない方の負担軽減を目的としています。
そのため、財産の売却期限にも気を付けなくてはなりません。
相続税の申告期限は、基本的に相続開始日の翌日から10か月です。
したがって、相続開始の翌日から3年10か月以内に売れないと時間切れとなってしまいます。

取得費加算の特例の計算式

取得費に加算する相続税額の計算式は、以下のとおりです。
相続税額×{財産の相続税評価額/(取得財産の価額)+(相続時精算課税適用財産の価額)+(純資産価額に加算される暦年課税分の贈与財産の価額)}
複数の不動産が対象となる場合は合算せず、それぞれの不動産に対して計算が必要です。
計算結果が特例適用前の譲渡所得の金額を超える場合は、譲渡所得相当額を取得費にプラスします。

手続きと必要書類

取得費加算の特例を利用する場合は、確定申告の手続きが必要になるので、忘れないようにしましょう。
確定申告の際は、以下の必要書類もあわせて提出してください。

  • 相続財産の取得費に加算される相続税の計算明細書
  • 譲渡所得の内訳書(確定申告書付表兼計算明細書)〔土地・建物用〕や株式等に係る譲渡所得等の金額の計算明細書

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相続税の取得費加算の特例を活用できないケース

相続税の取得費加算の特例を活用できないケース

取得費加算の特例を活用できないのは、以下のようなケースです。

  • 配偶者が相続した場合
  • 譲渡所得以外の場合
  • 法人の場合
  • 相続時精算課税&3年以内加算制度以外の生前贈与の場合

活用できない各ケースの特徴について、見ていきましょう。

夫婦間で相続した場合

配偶者から相続した財産については、取得費加算の特例が活用できないことがあります。
夫婦間の相続では配偶者の税額軽減の効果によって、相続税がかからないケースが多いためです。
配偶者の税額軽減とは、1億6,000万円以下または法定相続分の範囲内であれば課税されない制度です。
相続税が課せられなかった場合、特例は利用できません。

譲渡所得以外の場合

相続税額のうちの一定額をプラスできる対象は、譲渡所得のみに限られます。
事業所得、雑所得、山林所得といった譲渡所得以外の所得に対しては活用できないので注意しましょう。

法人の場合

法人が遺贈により取得した財産を売却すると、譲渡所得税ではなく法人税が課せられます。
取得費加算の特例は譲渡所得のみに適用されるため、法人は特例の適用対象外です。

相続時精算課税&3年以内加算制度以外の生前贈与の場合

適用要件の項でもお伝えしましたが、生前贈与で取得した財産は、原則として取得費加算の特例を利用できません。
ただし、取得時に相続時精算課税制度と3年以内加算制度を利用した場合は例外です。
相続税精算課税制度とは、生前贈与の課税を相続時まで先送りする制度です。
この制度を利用すると、最大2,500万円まで贈与税を納めずに贈与を受けることができます。
その代わり、贈与者が亡くなった際に贈与財産も相続税の課税対象にカウントするため、特例を利用可能です。
3年以内加算制度とは、生前贈与から3年以内に贈与者が亡くなった場合、贈与財産を相続財産にカウントする制度です。
この場合も相続税が発生すれば、取得費加算の特例を利用できます。

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相続税の取得費加算の特例と併用可能な税制

相続税の取得費加算の特例と併用可能な税制

以下の3つの税制と併用すれば、さらなる節税効果が期待できます。

  • マイホームを譲渡した場合の3,000万円特別控除の特例
  • 居住用財産の買換え特例
  • 小規模宅地等の特例

ここからは3つの税制について解説します。

マイホームを譲渡した場合の3,000万円特別控除の特例

マイホームを売却した場合に、譲渡所得から最高3,000万円まで控除できる特例です。
譲渡所得が3,000万円未満の場合は、この特例だけで譲渡所得税が非課税になります。
ただし、いくつかの適用要件があり、たとえば別荘や一時的な目的で入居した家屋などは適用対象外です。

居住用財産の買換え特例

マイホームを買い換えたときの譲渡所得税の課税を、将来に先送りできる特例です。
この特例も、取得費加算の特例との併用が認められています。
先送りになった譲渡所得税は、新居を売るタイミングで、まとめて課税される仕組みです。
取得費加算の特例と併用すれば、先送りされた譲渡所得税を節税できます。

小規模宅地等の特例

小規模宅地の特例は、被相続人が居住用・事業用などで利用していた宅地を売った場合に、相続税の課税価格を減らせる特例です。
たとえば被相続人が住んでいた住宅を配偶者が相続した場合、330㎡までは80%減額されます。
要件が多く複雑ですが、利用できれば相続税の大幅な減額につながるでしょう。
相続開始から10か月間は売ってはいけないなど、細かい条件があるため、取得費加算の特例と併用する場合は慎重な判断が不可欠です。

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まとめ

取得費加算の特例にはいくつかの適用要件がありますが、活用することができれば譲渡所得税の節税につながる制度です。
「マイホームを譲渡した場合の3,000万円特別控除の特例」など、併用可能な税制もあるので、ぜひチェックしてみてください。
北九州市小倉での不動産売却なら「不動産ふたみん」。
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資格:宅地建物取引士 不動産キャリアパーソン 損害保険募集人

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